私たちの勤務実態と合理化受諾


 
私たちは働く者の立場で、現場の意見として会社に主張しています


    人命を預かる交通労働者として、事故を起こさないことは                 
   もちろん地域から信頼される交通として努力を重ねていま
   す。
    しかしながら公共交通とはいえ、民間企業であることから
   会社の収支状況を無視することもできません。このため不
   採算路線の廃止や統合、減便などを会社から提案を受け、
   労働組合として認めざるをえない状況にもなっています。
   ですが、お年よりや体の不自由な方、お子様にとっては貴
   重な足であることに変わりはありません。地域の皆様の足
   を守るため、私たちは直接お客様と接する現場の立場から
   「単に赤字だから廃止する」ではなく「どうすれば乗ってい
   ただけるか」を考え、利用しやすいダイヤ設定や車両構造を
   会社に対して意見をしています。


   バスの構造の問題においても、最近導入されているバリアフ
   リー対応の「ノンステップバス」は、車内が大変に狭く、特に
   混雑時においては、多くのお客様がお乗りできない欠点があ
   ります。
   組合としてはバリアフリーの利点を生かしつつ、座席配置の変
   更などによって少しでも多くのお客様がお乗りになれるよう会
   社、メーカーに要請をしてきました。また発進・停止時にショッ
   クの大きい「オートマチック車」についても、会社に対して要請
   を続けた結果、以前に比べてはショックも小さくなりました。
   しかしマニュアル変速車両に比べると現在でも、発進時などに
   ショックが発生をしています。

    今後もダイヤ設定や車両構造など、現場の立場からの意見を
   続けていきますので、ご理解とご協力、ご支援をお願い申し上
   げます。

以下はここ数年のうちに、労働組合が受け入れた合理化の
一例です。
・丸山営業所・夜行高速バス・中野〜羽田空港線の子会社へ
 社化
・事務所・工場の労働時間延長
・バス運転士の乗務時間の延長と、交番表内の時間外勤務の増加
・退職金協定の改正による大幅な退職金削減
・臨時給の−0.5ヶ月分カット
・基本給10%相当額の削減(有期)
・バス運転士ワンマン手当て、事務員と工場員の各種手当ての廃止
・住宅手当の減額(2年間の有期)
・案内所勤務者のパート化
・新規採用バス運転士の3年間の契約社員化


 
様々な合理化を受け入れ、労組は会社の再建に大きな貢献をしてきました



    近年、私たちも厳しい社会情勢を理解し、様々な合理化を受
   け入れてきました。前述したように公共交通とはいえ民間企業
   であることから、会社の収支バランスは重要であります。このた
   め私たちの労働組合でも、会社から提案された合理化案を職場
   において議論をし、受け入れ可能なものは苦渋の決断として受
   け入れてきました。このため組合員の実質賃金は毎年のように
   低下してきました。
     会社は収入の下がった分を全てを私たち労働者に転嫁して
   きています。多くのお客様に乗っていただくための新サービスの
   開発や、新路線の開拓などを行わず賃金カットだけで会社経営
   を行おうとしているのが現実です。
    現場の組合員は将来を不安に思っております。サラ金苦に陥る
   組合員も多数発生し、賃金の目減り分を取り返すために時間外勤
   務や公休返上で無理をしている実態があります。
   労働組合としては、無理な勤務は安全を損なったり、接遇に問題
   も発生することからこれ以上の無茶な合理化には一定の歯止めを
   かけていきたいと考えます。
  
 
賃上げは100円台、賃金カットのほうが大きく若手組合員は将来に不安



   関東バスの運転士の初任給は社員で約19万円です。しかし、
  現在は入社してからの3年間は契約社員となっている関係から
  賃金は175,000円程度となっています。このため、ここから税金
  や年金、保険などを引かれてしまうと12万円程度になってしまい
  ます。時間外勤務をこなして、なんとか生活をしています。
   ここ数年の関東バスの賃上げ額は1000円、500円、100円
  と年々下がり続けてきました。この金額は近隣の同業他社に比べる
  とはるかに低い金額です。
  労働組合として、決してこの状態が良いとは考えていませんが、会
  社の収支の関係もあり難しさもあります。しかし若手組合員の多くは
  この賃金実態から将来に不安を持っています。
   運転士は時間外勤務や公休返上という無理をしてなんとか生活を
  していますが、事務員と工場員は時間外勤務がほとんどできず、生
  活に支障をもたらしています。
   このため、事務員を中心に退職が増え続け、補充で中途採用をし
  ても、すぐに退職するといった悪循環の繰り返しになっています。
  事務所は交代制勤務で、泊まり勤務だと朝9時から翌朝の9時まで
  の24時間拘束になります。これが週に1回2回あり、さらに低い賃金
  実態と将来への不安から退職に歯止めがかからなくなっているもの
  と思われます。

   (参考)         
   関東バスの最近の賃上げ額                    


年度 賃上げ額 備考
2000年 1050円
2001年 500円 昭和61年以降に入社した者は1000円増額
2002年 300円 昭和62年以降に入社者は1000円増額
ただし全組合員は基本給の5%相当額を期限付きでカット
2003年 500円 昭和63年以降に入社した者は800〜1500円の増額。
ただし全組合員は基本給の10%相当額を1年間カット
2004年 100円 平成6年以降に入社した者は400〜900円の増額
 2005年    100円 平成7年以降に入社した者は400〜900円の増額
2006年   1,533円
平成2年1月15日以前に入社した者は1,000円の増額
平成2年1月16日〜平成7年1月15日1,500円の増額
平成7年1月16日〜平成12年1月15日2,000円の増額
平成12年1月16日〜平成13年1月15日3,000円の増額
平成13年1月16日〜平成18年1月15日2,500円の増額





   【但し平成18年3月16日現在で57歳以上の者を除く】
2007年 ,500円
一人平均回答
【但し、57歳以降の平均勤続以降は組合原資で
同勤続
   の1/2】

     2001年春闘以降〜2006年まで57歳以上の賃上げは
   されていない。

 関東バスには「定期昇給制度」がありません。
このため上記の賃上げ額のみが賃上げとなります。
 ストライキに入った上に小額の妥結結果なため、お叱りを受け
ことと思いますが、臨時給の協定もあるため、春闘自体はやめ
ることができません。臨時給協定も春闘時にしておかなければ、
まったく支払いがないのです。

 
定期昇給の無い私鉄職場、春闘をしないと賃上げと臨時給の支払いもありません


     私たち私鉄職場の多くは、定期昇給制度がありません。大手私鉄で
    も、定期昇給がある会社はごく一部です。この関係から、毎年春闘で
    交渉をしなければ賃上げはもちろんのこと、臨時給(年間、夏冬2回支
    払いされるボーナス)の支払いもありません。賃上げと臨時給は春闘だ
    けで決まってしまいます。
      ※臨時給とは夏冬に支払いを受ける一時金
      (ボーナスとも言われています)のことです

    よく私鉄の賃上げ額が高いといわれますが、定期昇給制度がない関係
   から、ほかの業種に比べて高いように見えるのです。例えば電機や鉄鋼、
   自動車などは報道では「ベア****円」といわれますが、このベア以外
   に定期昇給分があるのです。仮に4000円の定期昇給制度が確立されて
   いて、ベアが2,000円と報道された場合には合計で6000円の賃上げに
   なります。しかし私たちは定期昇給がないので「ベア****円」と報道さ
   れたら、その金額だけなのです。このため、若干高く見えるのです。

 
私たちはストライキ至上主義で交渉していません、回避を第一に交渉しています


    春闘時、ご利用のお客さまに多大なご迷惑をおかけしていることお詫び
   申し上げます。私たちもストライキ至上主義で交渉をしているわけではあ
   りません。ストライキ回避に向けて精一杯の交渉を会社と行っています。
   毎年3月に入ってから会社と交渉をしておりますが、会社の「再建は賃金
   カットが特効薬」といった、経営努力のかけらもない態度なため、誠意あ
   る回答を受けることができないのです

また、会社の伝統なのか、ストライキ予定ギリギリまで誠意ある
回答を出してこないのも現実です。お客様に告知する以前に、
誠意ある交渉、回答を私たちは強く望んでいます。ここが同業他
社と大きく異なる点かもしれません。

 私たちも経営資料をもとに公認会計士などと相談をしながら交
渉をしており過大な要求をしているわけでもありません。


 前述したように、春闘で解決をしないと賃上げどころか、臨時給
の支払いも受けられなくなります。多くの組合員は住宅ローンや各
種支払い、学校の教育費を臨時給で支払います。もし、臨時給の
協定が春闘時にできなければ、組合員は大きな不安にかられなが
ら勤務しなくてはなりません。2004年春闘時は、4月に入って解決
した関係から、多くの組合員が不安に陥りました。臨時給がなくなっ
た分を、どこかから借金しなくてはならないからです。


 私たちも社会情勢を理解し、高額な賃上げや、無理な臨時給の
増額を求めてストライキに入ることはありません。会社が少しでも
誠意を見せていただければ回避ができるのです。



 交渉は何回も行われ、ストライキ予定日の前日の朝から、深夜・
当日の早朝にかけても行われます。皆様にスト回避のお知らせ
ができるのは早朝のニュースになってしまうことと思われます。


 ストライキ回避に向けて精一杯の交渉を続けていきますので、
皆様のご理解とご協力をお願いいたします。交渉動向について
は、このサイトの「皆様へのお知らせ」でもご報告をさせてい
ただきます。



 私たちは精一杯の交渉を続けていきます。
皆さまの安全と利便性を守るため、私たちは闘います。
今後もよろしくお願い申し上げます。


最後までお読みいただいたことに、厚く御礼を申し上げます。
これからもご支援よろしくお願いいたします。


2008年3月
関東バス労働組合執行部